Webブラウザ「Google Chrome」が、ただの閲覧ツールから“思考のパートナー”へ進化しています。
今回のアップデートでは、AI機能の統合やデザインまわりの改善、開発者ツールの進化などが注目されています。
この記事では、デザインの現場目線で「今チェックしておくべき新機能」を整理して紹介します。
Gemini統合でブラウザが“考える”時代に
GoogleのAIモデル「Gemini」がChromeに正式統合されました。
ページの要約や複雑なタスクの整理、検索補助まで、まるでブラウザが意図を汲み取って動くような体験が可能になります。
デザイナーにとって注目すべき点は、情報過多なページをAIが要約することで、読者の理解コストを減らせることです。
また、UI設計においては“AIの出しゃばり感”を抑え、自然に機能を組み込むデザインバランスが求められます。
現在は英語版から順次展開中。日本語対応が進めば、制作現場の調査や情報整理にも役立つでしょう。
画像から調べる「Google Lens」がデスクトップ対応
スマートフォンでおなじみのGoogle Lensが、ついにデスクトップ版Chromeでも利用可能になりました。
ウェブ上の画像にマウスを合わせて右クリックすると、「この画像について調べる」が使えます。
これにより、参考デザインのリサーチや素材の出典確認がワンクリックで完結。
画像検索を切り替える手間がなくなり、制作の流れを途切れさせません。
活用シーン
タブをまとめて比較する「Tab Compare」機能
新たに追加された「タブ比較」機能では、複数のタブに開いたページ内容を自動で比較できます。
ECサイトやリサーチ中のページなどをChromeが整理してくれるため、情報の違いを視覚的に把握しやすくなりました。
デザイン検証やベンチマーク比較にも便利で、「このページとあのページ、どこが違う?」を確認する作業が効率化します。
履歴検索が自然な言葉でできるように
これまでの履歴検索はキーワード中心でしたが、今回のアップデートで自然言語検索に対応しました。
たとえば「昨日見たCSSのチュートリアルのページを出して」といった形で履歴を探せます。
制作中に「どこかで見た参考サイト」を思い出したいときなど、人に話すような感覚で検索できるのが特徴です。
開発者ツール(DevTools)のAI化が進行中
開発者向けにも、AI提案型の新ツールが追加されています。
アップロードした画像をもとにスタイルをAIが提案したり、WebGPUによるリアルタイム表現がさらにリッチになっています。
また、文章校正の「Proofreader API」やライティング補助の「Writer API」も試験導入中。
これにより、WebエディタやCMS上でのネイティブな文章チェックが可能になります。
デザインとUIの変化
Chrome全体のUIもアップデートされ、情報量を保ちながらも軽やかで見やすい構成へと進化しました。
メニュー構成の整理や新しいツールバーの配置、アイコンの視認性向上などが行われています。
また、アクセシビリティ機能も強化され、音声読み上げや画面拡大など、より多様な利用環境に対応しています。
視覚・聴覚の異なるユーザーにも配慮した設計方針が明確になっています。
注意点と対応範囲
デザイナーや開発者は、クッキーやユーザーデータの扱いを含めたガイドラインを確認しておく必要があります。
まとめ:ブラウザは“創造のツール”へ
Chromeの進化は、単なる機能追加ではなく「制作と情報理解をシームレスにつなぐ」方向を示しています。
AIはツールを超えて“創造の相棒”となりつつあります。
今後は、Geminiによるマルチタブ操作やページ要約+行動提案といった“能動的ブラウザ”としての進化が期待されます。
Web制作の世界でも、「AI × UIデザイン」「情報の要約と可視化」「ブラウザを拡張する思考ツール」というテーマが重要になっていくでしょう。